以前にも書いたが、僕は週刊ダイヤモンド誌購読に関して、普段はドコモのdマガジン を契約して、電子書籍の抜粋版をタブレット端末で見ている。
抜粋版なので、電子書籍の完全版と比べてもいくつか記事の抜け がある状態なのだが、普段はおおむね抜粋版の方で満足している。
で抜粋版と完全版でどの程度内容に差があるのか、一年前に簡単に比較をした。
dマガジン掲載の「週刊ダイヤモンド(抜粋版)」を完全版と比較してみる – ちゃたろうふぁんくらぶ
が一年たって掲載記事にどのような変化が生じたか?を比較するために、また記事比較を行ってみた。
今回比較したのは2016年4月16日号「神社の迷宮」 になる。
以下、完全版はSony Reader 版の週刊ダイヤモンドであり、両方に記事が掲載されているものは○ 、抜粋版では省略されている記事は× として一覧にしてある。
なお、両環境をとりまくこの一年の変化として事前に書いておくと、両方の環境ともスマホ・タブレットの電子アプリ版だけでなく、Web版がリリース された。
Web配信されているのは電子ファイルではなくストリーム版なのでまさかWeb配信されているファイルをダウンロードして見る、とかはもちろんできないが、Sony Reader 版でもdマガジン 版でもWeb版をスクリーンキャプチャをとって簡単にスクラップすることが出来るようになった。なお、現時点で電子アプリ版ではSony Reader 版はDRM保護のためスクリーンキャプチャ出来ず、dマガジン はDRM保護がなくスクリーンキャプチャ可能。
また、Web版に関してはSony Reader 版はFirefox未対応 なのでそれを見る時だけInternet Explorerを起動して閲覧している(普段の閲覧はそもそもタブレット端末なのだが)。うちのPCモニタは21.3インチ、1600×1200のUXGA解像度だが、どちらのWeb版も見開きで表示され、その内容は特に拡大しなくても快適に閲覧 できる。
dマガジン の目次ページのキャプチャ。広告は基本的に非表示なので、見開きのページ調整の際にはこんな風に調整ページが表示される。
Sony Reader の目次ページのキャプチャ。広告も基本的にそのまま表示されるのが違い。
○ 001p 表紙
× 002-003p 広告 NOMOS GLASHUETTE(腕時計)
× 004p 広告 商船三井
○ 005p 目次
× 006p 広告 住友ゴム
○ 007p 目次
○ 008-009p DIAMOND REPORT 鴻海、シャープ買収 100年企業を叩き売りした首脳陣の無為無策
○ 010-012p DIAMOND REPORT 業界3位から首位を狙え! ゼロからの大改革 新生ファミマの野望
○ 013p News(1) Inside 小売り 銀座にロッテ免税店が誕生 オープンまでの“紆余曲折”
○ 014-015p News(2) Close Up リーマンショック前夜の既視感 “爆弾”に再接近する銀行の怪
○ 016p News(3) Inside 農業 加工食品に新原産地ルール 進次郎改革で始まるバトル
○ 017p 人事天命 前田建設工業
○ 018p Interview 短答直入 三菱東京UFJ銀行頭取
× 019p 広告 シュープラザ
○ 020p World Scope from 米国 米国版「ギリシャ危機」 デフォルト懸念高まる米自治領プエルトリコ
○ 021p World Scope from 中国 越境EXの政策変更で人気商品は値上がり 2番手メーカーに商機
○ 022p Market 商品市場 透視眼鏡 資産凍結でも高水準の生産 再び膨らむ原油の下落リスク
○ 023p Market 金融市場 異論百出 世界の政治経済を読み解く エイプリルフールのジョーク
○ 024p Data 数字は語る 募る景気の先行き懸念 世界経済の混迷と円高で曲がり角の企業業績
○ 025p 広告(週刊ダイヤモンド定期購読者オンラインサービス)
○ 026-027p 【特集1】 神社の迷宮(タイトルページ)
○ 028-029p 【特集1】 神社の迷宮 第一篇 ヒエラルキー 全国10万社の頂点に鎮座 比類なき伊勢神宮の威力
× 030-031p 【特集1】 神社の迷宮 第一篇 別格の伊勢神宮 経営力で追う出雲大社と明治神宮
× 032-035p 【特集1】 神社の迷宮 第一篇 出雲大社と明治神宮が紡ぐ新世代「神三国志」の始まり
○ 036-037p 【特集1】 神社の迷宮 第二篇 信仰とカネ 崩れる氏神・氏子関係 起死回生の再興モデル
× 038-039p 【特集1】 神社の迷宮 第二篇 「坊主丸儲け」は夢のまた夢 寺に劣る神社のお寒い懐事情
× 040-041p 【特集1】 神社の迷宮 第二篇 日本で一番の金持ち神社 明治神宮は収益確保にご執心
× 042-044p 【特集1】 神社の迷宮 第二篇 お守りからアニメ、婚活まで 大盛況!神社ビジネスの裏側
○ 045p 【特集1】 神社の迷宮 空前の御朱印ブームが到来
○ 046-047p 【特集1】 神社の迷宮 第三篇 政・財・神 トップは安倍信三 神道政治連盟の結束
× 048-049p 【特集1】 神社の迷宮 第三篇 強権発動で宮司人事にも介入 官僚・世俗化する神社本庁の罪
× 050p 【特集1】 神社の迷宮 第三篇 三井不動産が福徳神社を蘇生 企業と神社との親密な関係
× 051p 【特集1】 神社の迷宮 第三篇 宗像大社の社員研修で継承 創業者・出光佐三の崇敬心
○ 052-053p 【特集1】 神社の迷宮 第四篇 神職のお仕事 神主・巫女さんの生態 外国人&女性神主さんに聞いた職業としての「神職」の魅力
○ 054p 【特集1】 神社の迷宮 どうやったら神職になれるの?
× 055p 【特集1】 神社の迷宮 第四篇 尊い職業なのに月収15万円 神職のブラックな職場環境(→058pへ)
○ 056-057p 広告 大阪ガス
× 058-059p 【特集1】 神社の迷宮 第四篇 尊い職業なのに月収15万円 神職のブラックな職場環境(→055pより)
○ 060-061p 【特集1】 神社の迷宮 第五篇 初歩から学ぼう 神代から近現代まで日本の神様が大集合
× 062-063p 【特集1】 神社の迷宮 第五篇 明治天皇の玄孫・竹田恒泰氏が大胆に解説 “世界一分かりやすい”『古事記』の世界
× 064-065p 【特集1】 神社の迷宮 日本最古の企業 1400年の歴史が紡ぐ匠の技
○ 066-067p 大人のための最先端理科 第64回 数学 数学とは「問題を解く」学問 ちまたのイメージは正しい?
× 068-069p 広告(電子版未掲載)
○ 070-071p 勝手にケンミン創生計画 39 愛媛 20代はミカンを想起せず 魅力度39位の甘くない現実
○ 072p 広告 ダイヤモンド社書籍
○ 073p カラダご医見番 ライフスタイル編 296 ガン=生存時代の就労を支援 治療と仕事の両立に指針
○ 074p 広告 ダイヤモンド社書籍
○ 075p 洞察 脇役が主役に変わるとき 宮本慎也 93 育成という言葉が独り歩き 結果が出ない言い訳で多用
× 076p 広告 Callaway
○ 077p 深堀圭一郎のゴルフIQを高めよう! 51 スタート前の練習グリーンでは何をやるべきか
○ 078p ビジネス掲示板
○ 079p Key Wordで世界を読む Number89 zero-knowledge system ゼロ知識システム
○ 080p Book Reviews 知を磨く読書 正真正銘の「地方創生」
○ 081p Book Reviews 私の「イチオシ収穫本」 「阿部政権に勝てる」と提言 “左派”が考える景気刺激策
○ 082p Book Reviews 目利きのお気に入り 埋もれている成功のヒント 「視線転換」「反転」の大切さ
○ 083p Book Reviews オフタイムの楽しみ サイエンス こんな手があったのか! 工夫を楽しむ読書の醍醐味
× 084-089p シンドローム 真山仁
○ 090-092p 【特集2】 日本コカ・コーラの限界 王者の席は風前のともしび 高鳴る天敵サントリーの足音
× 093p 【特集2】 日本コカ・コーラの限界 Interview 日本コカ・コーラ社長
× 094p 【特集2】 日本コカ・コーラの限界 米本社の支配でがたつく東 ボトラー一本化の前途多難
○ 095p 【特集2】 日本コカ・コーラの限界 R&Dセンターに初潜入 倉庫街に在る”心臓部”の重要任務
× 096-097p 【特集2】 米国に倣っても解にならない コカ・コーラモデルの限界
○ 098-099p 財務で会社を読む 日本マクドナルドホールディングス
○ 100-101p ものつくるひと 第27回 「ミガキイチゴの開発」岩佐大輝
○ 102-103p 野口悠紀雄 「超」整理日記 803 必要なのは社会保障の長期計画と生産性向上
○ 104-105p 永田町ライヴ!後藤謙次 衆院本会議場の空席が暗示する国会議員のTPPへの無関心
○ 106p From Readers From Editors(編集後記)
× 107p 広告(電子版未掲載)
○ 108p 櫻井よしこ オピニオン縦横無尽 司法判断が割れた原発の安全性 重視すべきは専門家尊重の最高裁判所
○ 109p 広告 ダイヤモンド社書籍
○ 110p 櫻世界遺産を撮る 周剣生 003 ラパ・ヌイ国立公園
× 111p 広告 SEALANE 腕時計
× 012p 裏表紙 広告 DARKS LONDON
1年前との備忘メモとの比較も含め、特徴は以下の通り。
・特集以外の定期連載・コラム記事はほぼ全て読める ようになった。今の時点で連載記事で読めないのは真山仁の小説だけ。
これは去年の夏~秋ぐらいに方針変更があったと思われる。基本的に抜粋版は毎回読んでいるが号によって載っていたりいなかったりはない。
・ピックアップニュース系(これも大まかには定期連載に属するか)が問題なく毎回全部読めるのは1年前から同じ。
・特集に関しては、今回の号では抜粋版だけではかなり消化不良と言わざるを得ない(だから完全版も買ったのだが)。特集1に関しては、全38ページ のうち抜粋版で読めるのが14ページ 、読めないのが24ページ にもなる。特集2に関しても同様に全8ページ のうち抜粋版で読めるのが4ページ 、読めないのが4ページ である。
なお、今回の特集に関しては殆ど読めない、と言う結果になったが、普段抜粋版を読んでいる印象では意外に読める号もある気がする。その場合は特集1はなるべく漏れなく掲載する代わりに、特集2を跡形もなく掲載していない号がある印象。
いずれにしても、「今回の特集は面白い」と感じたら、迷わず完全版を購入した方がいい。
僕はいつも抜粋版のうち、ゴルフページ・書評ページ・オピニオン縦横無尽ページ以外はくまなく目を通しているが、だいたい毎回読むのにかかる時間は1時間余りかと思われる。特集をじっくり読む時は2時間ぐらい、特集がつまらなく斜め読みしている時は1時間を切っていると思う。
ホントなら週刊東洋経済もせめて抜粋版全部目を通したいのだが、今のところ取れる時間的に東洋経済の方まで目を通せる週はあまりない、そんな感じで読んでます。
娘向けにNHK まんがで読む古典 シリーズを購入したので主に備忘メモ。読書感想はなし。
本は、角川書店が発行している全9巻のものと、ホーム社漫画文庫が発行している全3巻の物がある。ホーム社のものには徒然草と雨月日記が収録されていないようなので、できれば角川版がいいと思う。僕が購入のために検討した時は、ホーム社の方は全3巻で送料込みで1500円前後で入手できるようだった。角川版は全9巻で送料込みで3500円ほどで入手できた。
購入してパラパラと流し見した印象だと、このシリーズは女の子向け(少女コミック)である。男の子向けで似たようなシリーズだと、中央公論社のマンガ日本の古典全32巻 の方がいいのではないかと思う。
ごく最近に出版が始まったシリーズだと、学研まんが 日本の古典と言うシリーズがあり、これも魅力的ではあるのだが一冊当たり1400円と言うのはちょっと強気な値付け過ぎるかな、と思った。電子書籍で集めるのなら学研まんがをおすすめしたいと思う。
なお、我が家では読書は別にマンガでも本でもどっちでもいいと思っている。読解力なんて国語の授業で身につければいい話で、知識を獲得するのにはマンガだってかまわないだろう、という方針だ。また、本は新品でも中古でもなんでもいい(読めれば)とも思っている。もちろん何から何まで中古だとちょっと物悲しくなるが、新品であるべきなのはもうちょっと高級な学術書でいいだろうと思う。
ついでに、今回日本の古典のマンガをいくつかシリーズもので漁ってみて再認識したが、日本人って昔っからスイーツ(笑)小説大好きね。。。
この本は、眼の誕生 – カンブリア紀大進化の謎を解く に引き続いて、NHKスペシャルのNHK 生命大躍進 第3集『ついに“知性”が生まれた』の内容の下敷きになっているから読んだ。
今回は、初めてKindle本で購入して読んでみた。ので、その感想も含めて
Kindle本で読書をした感想
今まで、電子書籍は主に漫画コミック、雑誌を読んでいたけどテキストブックの電子書籍は初めて。
テキストブックの電子書籍で戸惑うのは、『ページと言う概念がない』と言う事だろう。コミックにせよ雑誌にせよ、基本的には紙版のハードコピーを読んでいるわけで、そこには紙の頃のままのページの概念が残っているし、見開きスタイルで読めば電子書籍であることの違和感をほぼ皆無にすることができる。
一方で、テキストブックだと画面の大きさや文字の大きさを調整することで1画面内の文字数は大きく変わり、それに沿ったレイアウトになるので非常に流動的。ページの概念がないと、やはり最初のうちは「自分が今どこを読んでいるのか」分からないので、けっこうな戸惑いを感じた。
一応Kindle本はその辺考慮はしてはあって、下の画面キャプチャのように
章単位での読み終わる時間や
本全体での読み終わる時間や
仮想的な位置の目印なんかを表示して、読んでいる位置を把握できるようには務めているが、やはり紙のページの概念に慣れきっているとこの表示法は若干分かりにくく感じた。まあ、きっとKindle本をたくさん読んでいけばやがて慣れるのだろうとは思うけど。
あと、今回はタブレット(XPERIA Z2 Tablet)とファブレット(XPERIA Z Ultra)両方で読んでみたけど、スマホ(ファブレット)でもそこそこに読むことができた。やはり落ち着いて読むのならタブレットの方がずっと楽なのだけど、ささっと空き時間で読むならスマホの方中心で読み進めても問題ない感じだった。
この本について
この本は、著者のスヴァンテ・ペーボ氏がネアンデルタール人のDNAゲノムをすべて解読し、現代人種ホモ・サピエンスとの関係性を論ずることができるまでたどり着く約30年にもわたる半生を自伝的に扱ったもの。
本の中では、最初医科学生だったりエジプトのミイラに興味を持っていた学生時代の話から始まり、ふと思いついてスーパーで買ってきた牛のレバーからDNAを読み解く実験をしたことから、現在生きているものではない、死んでしまったものからDNAを取り出すことに挑戦していくようになる。最初はエジプトのミイラからDNAを抽出する挑戦に始まり、(そしてそれは論文となり注目を浴びたものの結果的には失敗であった)、その後訪れる『古代DNA』、特にジュラシックパークが流行りまくっていた頃の古代DNA抽出は不可能であることを示すお話や、その後分析時の汚染(コンタミ)を恐れるがあまりクリーンルームを作り始めるお話、そして研究所の所長となってプロジェクトを進めるようになり、他者との研究競争になる日々などを痛快に書き連ねている。なぜかゲイであることをカミングアウトしてたり、まあ変なお話もいろいろ混じっているけど面白い。
僕も大学生の頃、のべ二か月ほどクリーンルームでの分析作業をやったことがあるけど、日々コンタミとの戦いで、作業項目によっては作業後クリーンルームに入れず帰宅したりした記憶などが懐かしく思い出された。また、自分が学生の時にはあまり気にしなかったけど、古代ネアンデルタール人のゲノム解析にはコンタミだけではなく収率(いかに少ない試料から効率よくデータを回収するか)などの話も書いてあって、あー『はやぶさ』が帰還した時に回収した岩石(とも呼べないかもしれない砂粒)でも、ごく微量なものからごく微量な数値を検出する苦労と似ているなあなどと思ったりした。
ネアンデルタール人の謎、こうやって解いた | 今週のHONZ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
↑最初、たまたまスマホのニュースアプリで↑の記事を読んで興味を持ったので、NHKスペシャルにも合わせて読んでみたのだが、かなり満足する内容だった。
ぜひ、他の方にも読んでみてほしいと思う。
久しぶりに天文ガイドをパラパラと読んでいたら友達の研究結果と思しき記事を発見したので転記。
via 月刊天文ガイド2015年06月号 page10 Astro News JUNE 2015
天の川銀河の回転速度を精密に測定
鹿児島大学の研究者などからなる研究チームは、大質量星形成領域 IRAS 20143+3634にある水メーザー天体の観測を行い、太陽系付近での天の川銀河の回転速度を、これまでよりより精密に測定することに成功した。
太陽系は天の川銀河の中心のまわりをほぼ円を描いて回っており、IRAS 20143+3634も太陽系とほぼ同じ円周上を回っている。この天体までの距離や固有運動を精密に測定するこことができれば、太陽付近での天の川銀河の回転速度を精度よく導き出すことができる。
研究チームはIRAS 20143+3634に含まれる、水メーザーを放射する天体を約2年間にわたって観測し、IRAS 20143+3634までの距離として8870光年、固有運動から計算した太陽付近での天の川銀河の回転角速度として、1キロパーセクあたり秒速27.3±1.6km(通常の速度で表すと秒速232km)という値を得た。この値は国際天文学連合が採用している秒速25.9km(同秒速220km)より大きく、最近のVERAなどによる観測結果を裏付けるものとなっている。
まあ読んだだけではなんのこっちゃ? と思うかもしれない。以下僕の解釈。
まず、地球が太陽の周りをまわっているように、太陽も銀河系の中でグルグルまわっている。で、今回の記事はその回転のスピードを調べたというお話なんだけど、そもそもなんでそんな回転スピードを調べる必要があるの? と言う疑問が沸いてしまうだろう。
まあ「単純な知的好奇心」で片づけてもいいんだろうけど、それじゃつまらないので一つ理由を探ってみると、「銀河系の中のダークマターの測定」ってことになるのだと思う。
実は、今分かっている銀河系の中の太陽などの回転速度は、現代物理学と矛盾する。
高校の物理で習うように、太陽と地球の関係とか、地球と月の関係を調べていくと、『ケプラーの法則』が導かれる。大きい天体の周りを小さい天体がグールグル回っていて、なおかつその回転速度は計算で求められる、という法則なのだけど、これを銀河系にあてはめるとどうなるか?
銀河系でも、もちろん中心(銀河系の場合には中心天体があるわけではないので仮想中心質点ってことになるけど)の周りを太陽がグールグル回っている。ところが、その回転速度がケプラーの法則で導かれる数字よりずっと大きいのだ。
この矛盾をどうするか? と言う問題において、現代物理学では『ダークマター(暗黒物質)』と言うものを想定している。つまり、ケプラーの法則は正しい、でも銀河系でそれが成り立たないのは、現在の人類が観測できていない謎の重力原、ダークマターがあればいいと結論付けて矛盾を回避しているのである。
ということでお話の最初に戻ると、銀河系の中での太陽の回転速度を求めるということは、銀河系の中にあるダークマターの量を求める、ということにつながるのだ。今回の研究によると、今までに比べて太陽の回転速度は速かった。ということは、銀河系の中のダークマターの量(少なくとも太陽と同じ円周上での量)が今まで見積もられていたものよりも多いのでは? と言う結論を結びだしているって話になる。
まあ、他にもお話があるのかもしれないけど、以上がこの記事から読み取った僕の解釈。
今回、この本を選んだのは、ちょうどNHKスペシャルでNHK 生命大躍進 と言う番組をやっているからである。
この本は、ちょうど、第1集「そして“目”が生まれた」の内容の下敷きになっている本の一つ。
この本の結論は、「光スイッチ説」と言うものの提唱である。もう少し解説すると、地球における生物の進化を紐解いていくと、約5億4300万年前に始まるカンブリア紀に、突如動物の種類・個体数が増加する『カンブリア爆発』と言う現象があったこと(さながら『進化のビッグバン』とも呼ばれている)が分かっているのだが、なぜこの時期に生命が急拡大したのかが分かっていなかった。本書は、その疑問に対して、「この時期に生命が『眼』を獲得する、と言うイベントがあった。(つまり光を受信できるようになった。)これが引き金(スイッチ)となって、動物の爆発的な繁栄につながった」と結論付けるものである。
とまあ、結論から書いてしまうと結構身も蓋もない中身なのだけど、その仮説を提唱するにあたって現代生物学、古生物学、物理(光)学等の知識をフルに活かして迫っているのがすごい。
現代生物学の観点では、「光」があることの意味をまず考える。地球上で光の届かない深海や洞窟内での生物の適応、あるいは特に光満ち溢れる熱帯の昆虫上に見られる色彩などを通して、進化と光が切っても切れない(進化に対する淘汰圧が高い)ことを説明していく。
一方、古生物学の視点では、バージェスなどで発見された非常に状態の良い化石の微構造を電子顕微鏡で調べることで、古代の生物たちが構造色を持つ=古代の生物たちは非常にカラフルな形態をしていたことを明らかにしていく。
さらに、古生物たちの「眼」の構造にも迫っていく。カンブリア紀に地球を支配していた動物はそのほとんどが節足動物門であり、そのほとんどが複眼構造を持つのだが、その構造も電子顕微鏡で丹念に追っていく。三葉虫の複眼が方解石で構成されていたなんて僕は知らなかった。
また、進化速度を実際に計算した結果も載っているのも面白い。例えば、脊索動物門の持つカメラ眼構造は、初期のただの感光細胞から魚類の持つ程度のカメラ眼構造に進化するまで、およそ365,000世代と見積もっている。一世代一年とすれば、眼の複雑な進化は50万年もかからずに進化できるのだ。
これらのような丹念な観察から、最終的に光スイッチ説にたどり着く壮大な話は読んでいてワクワク感を覚える。また、本書の中に具体例として挙がってくる動物たちも面白い。グソクムシなど、日本で断食しているダイオウグソクムシがブームになるよりずっと前に取り上げられていたのだな、とびっくりする。カンブリア紀の動物たち、アノマロカリスに始まりオパビニアやハルキゲニアなど、奇妙な生物群を見るのもとても面白い。
なお、この本では最後に一つに疑問を残す。『何が眼の進化の引き金となったのですか』である。この本では、銀河系に話が飛んだり海の透明化に話が飛んだり、今一つこの疑問は解決されていない。僕が以前読んだ凍った地球 – スノーボールアースと生命進化の物語 に出てくるアースボール仮説も可能性の一つとして挙げられている(が残念ながら、アースボール仮説とカンブリア爆発とではタイムラグが大きく、ここを埋める説明ができない)。
で、今回のNHKスペシャルではロドプシンと言う光を受容する遺伝子が、植物から動物へジャンプした説を提案している。「じゃあ、なぜこの時期に遺伝子のジャンプが起こったの?」と言う疑問を持ってしまうと疑問の連鎖の中に沈んでしまうのだけど、ここを追求するのもまた面白いだろうなあと思った。