天体写真:固定撮影で星雲星団撮影をしてみた

先日、紫金山・アトラス彗星を撮影した際、固定撮影でもM12(球状星団)がなんとなく球状星団っぽく写ったので、「あれ、もしかして今どきのミラーレスカメラなら星雲星団をガイド撮影しなくても固定撮影でなんとなく写るんじゃね?」と思ったので、ちょっと試してみた。

結論から言うと、スマホ画質みたいな状態ではあるが、星雲星団(DSO)は写る。以下、試してみた様子を備忘メモ。

素材として写真の撮影

単純にカメラを被写体に向けて、連射でたくさん写真を撮る。星景写真を撮るのと大差ない。
撮影のコツとしては、

・カメラを三脚に据えて被写体にカメラを向ける。
あんまり望遠のレンズを使っても被写体を探しにくいだけなので、あとでトリミングする前提で中望遠レンズを使った方がいいと思う。僕の場合、XF90mmF2(フルサイズ換算135mmぐらい)を使った。フルサイズ換算200mmぐらいで、なるべく明るいレンズを使った方がいいと思う。

・レンズの撮影距離を無限遠に設定する。
無限遠の出し方だが、「バーティノフマスク」と言うフィルターのようなものをレンズの前に設置することで、星を写してその光条の出方から無限遠を簡単に調整できる治具が売っているので、使うのが良い。amazonで1500円も出せば買えるはず。

・星が軌跡にならず、点になるようにシャッター速度を決める。
星を点として留めるシャッタースピードに設定して撮影する。星の動きが出ないシャッタースピードの目安は「500ルール」「200ルール」「NPFルール」などがある。500ルール200ルールはそれぞれ撮影レンズの焦点距離(フルサイズ換算)で500を割った数字、200を割った数字をシャッタースピードの秒数と言うルール。例えば、僕の使ったXF90mmF2のレンズの場合、フルサイズ換算で135mmなので、500ルールなら500÷135で約3.5秒が上限、200ルールなら200÷135で約1.5秒が上限になる。NPFルールはもっと複雑な計算式で、ネットに数字を打ち込むと計算してくれるサイトがあるので利用するといい。
僕の場合、使っているX-T5がAPS-Cで4020万画素と画素ピッチがかなり細かい機種なこともあり、500ルールでは星は軌跡になってしまった。星景写真なら拡大しなければ500ルールでも違和感ないが、星雲星団撮影では200ルールの方が無難そうだ。僕はシャッター速度1秒にした。

・ISO感度は、なんとなく被写体が写りそうな程度のものを(レンズF値に依存)
僕の場合、F2のレンズでISO6400で撮影した。ここでISO3200の方がよく写るかISO12800の方がよく写るかまでは試さなかったが、あまり被写体が暗いと後で使うSequaterでは浮かび上がってこなかったのでISO6400ぐらいがいいのかなと思う。
当然、F2.8やF4などレンズが暗くなればISO感度を上げざるをえないので、なるべく明るいレンズを用意した方がいいのは明白。
また、高感度ノイズはSequaterのスタック処理である程度低減されるが、その代わり星雲の細かな模様はノイズ低減の過程でどこかへ消えてしまうようなので、悩ましいところ。

・固定撮影で、100枚を目安に撮影する。
とりあえず100枚程度連射で撮影しておけば、後処理で星雲星団は浮かんできた。数百枚撮影した方が仕上がりはいいかもしれないが、試していない。1000枚を超えたら被写体が天の星の動きで構図から逃げてしまうんじゃないかと思う。

といった感じで撮影する。

後処理の方法

まず、撮影した写真をAdobe Lightroomでざっくりと現像する。

他のソフトでも現像できるが、1枚で処理した現像設定のプロファイルをそのまま残りの100枚に適用するのが楽ちんなのでLightroomがおすすめ。
現像については、レベル補正で中間調をかなり持ち上げ、かなり眠い感じの写真にしてしまう。
書き出しはjpgでもいいと思うが、せっかくなので16bit tiffで出して目いっぱい諧調を探せるようにする。

次に、Sequaterでスタック処理する。
本当は天体専門の画像処理用にはステライメージPixInsightの方がいいのだろうけど、無料のSequater(本来は星景写真で空と地上風景を分けてスタック合成するソフト)を使って合成する。
処理方法は特に書くこともない。

最後に、LightroomやPhotoshopで処理する。
この辺もフィーリングで。

仕上がった写真のサンプル


M45(すばる)
画質はへっぽこだけど星周りの雲がなんとなくあるのが確認はできる。ガイド撮影しなくてもこんな感じになるのなら画像処理は若干面倒だが子供でも挑戦しやすいと思う。


オリオンの三ツ星と子三ツ星
オリオン大星雲の色はなんとなく出るけど、細かい模様は全部潰れちゃってる。


二重星団(h-χ)
星団の方が写真は楽だと思う。けど星の色まではきれいに出ないかな。


北アメリカ星雲
沈みかけのはくちょう座に向けたので、天頂付近になればもう少しマシにはなるかもしれない。でもどっちみちスマホ画質ではあるけど。

ちなみにこの日、M31(アンドロメダ星雲)は天頂にありすぎて三脚+ビデオ雲台ではカメラを向けることができなかった…。

まあ、こんな載せるのも恥ずかしい画質の写真ではあるけど、赤道儀がいらないよ、となるとなんとなくうれしい気分になった。

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