紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)を撮影した話

久しぶりに、天体写真に熱中したのでその記録を備忘。
紫金山・アトラス彗星がそこそこ観望できるという噂を聞いていてけど、9月下旬ころは明けの空だったので早起きするのが面倒くさくてスルーしていた。
そしたら、10/12(土)にたまたま知り合いの写真展に見学に行った際に、そこにいた写真展主催者の方のお友達が「彗星、見えるよ」という話になり、夕方の空に見える時期になっていたので撮影に挑戦することにした。
結局、10/12~10/21まで晴れの日は近所の西の空が開けた場所に行って撮影することにした。

撮影機材は、カメラはFUJIFILM X-T5。レンズはXF16-80mmF4XF90mmF2およびSIGMA 100-400mmF5-6.3の3本を状況により使い分け。赤道儀は持ってないので、三脚に適当に据えて固定撮影。
そのほか、補助具として双眼鏡はPENTAXの7×50のポロプリズム双眼鏡。それから、天体探しにAndroidのアプリ、Star Walk 2を使用した。

最初に天体探しのアプリで検索すると、紫金山・アトラス彗星宵の明星(金星)うしかい座のアークトゥルスを目印に、その中間地点の線上をおおむね移動していて、10/12の時点では2つの星の中間地点より西の地平線側、と言うことが分かったのでその辺を重点的に探したが、結局見つからなかった。
翌10/13(日)、同じように探すと、
17:40に金星(宵の明星)が西南西に、17:50に夏の大三角が天頂付近に、18:00にアークトゥルスが西北西に、という順番で肉眼で見えるようになった。で、彗星のいそうなあたりを目安をつけたのだけど、西側の地平線の空には低い雲があることもあり、双眼鏡ではなかなか見つからない。そこで、その辺にカメラを向けてF4、4sec、ISO1600ぐらいで撮影してみたら、なんとなくぼんやりと彗星が写った!。
その後、その方角を双眼鏡で改めて観察すると、確かに存在をしっかり確認できました。ので、XF90mmにレンズを交換してやや拡大撮影。


X-T5/XF90mm/F2.0/1.5sec/IS0800
山裾が見えているのは、撮影地との位地あいからするとおそらく霧ヶ峰かなあと思う。

で、この日は写真を連射して58枚の写真をスタックしてみた。


X-T5/XF90mm/F2.0/1.0sec/IS0800/58枚画像をSequatorにてスタック現像

さすがにちょっと合成感が強いかなあ。でもなんか「大彗星!」っていう感じが出たので満足。合成に使ったソフトはSequatorと言う無料のアプリで、星空部分と地上風景を別々に認識して合成してくれる。
彗星の写真を撮ったといえば、1997年のヘール・ボップ彗星(C/1995 O1)以来だけど、デジカメでは本当に簡単に写ってくれるのは感動した。

翌10/14(月・祝)はさらにレンズをSIGMA 100-400mmF5-6.3に変えて拡大して撮影したりもしてみた。…が、結局彗星がはみ出してしまうほど大きかったので、こっちの望遠ズームはいらなかったかも、と言う感じでした。


X-T5/SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS|C/200mm付近/F4.9/2.0sec/IS03200/52枚をsequatorにてスタック現像
彗星が妙に赤くなってしまっているのは、夕日と同じで地平線際にいるからなのかな、と思う。

これは翌10/15(火)。

X-T5/XF16-80mm/16mm/F4.0/IS01600/5.0sec~1/13secの10枚の写真をスタック現像。

その後10/16(水)~10/19(土)は天気が悪くて撮影に行かず、最後に10/20(日)に撮影に行った。

X-T5/XF90mm/F2.0/1.0sec/IS06400、IO8000/125枚画像をsequatorにてスタック現像
この写真で満足できたので、今回の撮影は終了。翌日は庭先で最後に双眼鏡でしばらく楽しんで終わり、とした。

今回の撮影、すごく久しぶりだったのだけどとにかく驚いたのがカメラの高感度性能、そしてパソコンでの処理技術の発達。Sequatorと言うアプリがあれば、やたら連射だけして撮ってきた固定写真をガイド撮影かのように合成してくれるのは驚きだった。これがあれば、PENTAXのO-GPS1(2)を使ったアストロトレーサーを完全に代用できる。

10/20(日)の写真はよく見ると、左上に盛大に伸びている尾とは反対に、真下の方向へ少しだけ別の尾が伸びている。イオンテイルとダストテイルなのかなあ、とも思ったけどいかにもなイオンテイルの色はしていないし、ちょっと謎だった。これはアンチテイルと言うらしい。近日点通過で地球から見て太陽と彗星の位置関係が入れ替わるときに、太陽側に尾の一部が残る現象なのだそうだ。

あと、10/20(日)の写真には、左下に星にしてはなんかもやっとしたものが写っている。
拡大するとこんな感じ。


なんか、等倍で見ると球状星団っぽく見えるけどなんだろうなあ、と思ってPCでStellariumを起動して、当日の彗星の位置をチェックしてみると、


これ、M12じゃんね
固定撮影した写真を加工したら、M12が写ってました、は正直びっくりした。星が流れないシャッタースピードで100枚ぐらい連射しておいてスタック現像すれば、あらかたのメシエ天体がガイド撮影もなく撮影できそう?
と言うことで今後しばらく固定撮影でメシエ天体を少し遊んでみようかと思ってしまった。

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