KBF mk4(スイッチつき)簡単なレビュー

前回、Audbs P4を買ってしまってさらに立て続けにKBF mk4まで買ってしまったのでレビュー。完全に中華イヤホンブームが僕の中で来てしまっている。

中華イヤホンに関する情報はほとんどがtwitter上で消費されてしまっており、ブログ媒体などでレビュー記事がある、というケースが意外に少ないようなのだが、その中でbisonicr(ばいそにか)@bisonicrという人のブログがレビューてんこもりなのでちょっと興味を持って読んでいた。
その中で、2018年年末のおすすめイヤホンレビューが有り、その中でこのKBF mk4が推されていたので興味を持ち、僕も購入してみることにした。推奨機種はいくつもあるのだが、それらの説明の中で、KBF mk4は中域のBAが僕の愛用しているEtymotic Research ER-4シリーズで使われているものと同じKnowlesというところの製品を使っている、というところに一番興味を惹かれた。

bisonicr keep walking. : 【年末企画】ブログで紹介してきたイヤホンの 「個人的な好み」 ジャンル別トップ3(笑) ※2018年年末版

また、今回はamazon日本で購入した。1月と言うことで、中華にとっては旧正月前(要するに米国で言うところの年末前、日本で言うところの年末年度前末)みたいな感じで決算セール的な状況になっており、若干値引きがあったっぽいからだ。Audbs P4のときと違い、購入から2、3日で届いたのも嬉しかった。

ところでKBFってなんぞやと思って調べる感じでは、この商品を販売している店がKinboofiというところなので、この略称がKBFであるっぽい。つまりショップブランドでハンドメイドな高性能機種を作ってみましたみたいな感じかなあと。

この機種には聴感を調整するスイッチが付いており、1番スイッチ・2番スイッチのON/OFFで音質を変更することが出来る。…が、このスイッチを変更すると具体的にどういう設定になってどういう音質になるか、という説明がどこにもなくて悩んだ。いや自分の耳で聞いた感じだけを信じればいいじゃないかとも思うが、やっぱり原理を知っていないとなんとなく気持ち悪い気もするもので。


こんな風にスイッチがついている

で、調べてみるとこの機種の6BA版、KBF mk6についてスイッチの説明がやっぱりbisonicr(ばいそにか)@bisonicrさんのブログで紹介されている。
bisonicr keep walking. : [補足編] Kinboofi 「KBF MK6」(スイッチ付きモデル)での音質変化を確認。ボーカル向けのモードなど新しい一面を発見しました【レビュー】
これによると、
1 ON, 2 ON音圧感度
1 ON, 2 OFFバランス
1 OFF, 2 ON流行
1 OFF, 2 OFFボーカル
となっている。多分KBF mk4でも同じ設定だと思われるが、この説明を聞いてもなんのこっちゃ?って感じだ。
まあおそらく、上記サイトで推測されている通り、1番スイッチは中域の担当をしているBAの抵抗に対するON/OFFで、ONにすると抵抗が入って中域の音量が減る、同様に2番スイッチは低域の担当をしているBAの抵抗に対するON/OFFで、ONにすると抵抗が入って低域の音量が減る、と言う感じなのだろうと思う。
つまりいわゆる高音と低音の強いドンシャリになる設定が「1 ON, 2 OFF:バランス」で僕みたいに高音命な人が好むのが「1 ON, 2 ON:音圧感度(高音だけ強調)」か「1 OFF, 2 ON:流行(高音、中音強調して低音を減らす)」なのかなあと思う。
なお、僕のためした限りではとりあえず標準の「1 ON, 2 ON:音圧感度」でいいかな?と言う感じだった。

で、実際の音の感想なのだが、まず装着して最初のうちに感じたのは、「ああ、確かにこれはEtymotic Research ER-4Sに高音と低音を足してにぎやかにした感じだなあ」と言う印象だった。Etymotic Research ER-4Sほどの遮蔽感を僕は得られていないのでER-4Sのような脳みそまで回路が直結したようなダイレクト感は若干落ちるが、Audbs P4の空間的広がりのある柔らかい音に比べるとKBF mk4の方がソリッドに聞かせる方向で、なるほどER-4Sに近い。僕の好みではAudbs P4よりこちらの方が良かったので、しばらくの間こちらをつけて聞き込みを開始した。
そして半月ほど聞き込みをした後で、ER-4Sに戻してみるとこれが面白かった。KBF mk4を基準にした耳でER-4Sを聴くと、ER-4Sがすごくあっさりした音に聞こえる。よくシングルドライバなのでかまぼこサウンドと言うか低音と高音がさっぱり抜けた音だといわれるが、確かに低高音のにぎやかしがなくなった分のスッキリ感が強く出るのだ。とはいえ、高音も低音もいきなりスパッと切れるイメージではなくなだらかに下がっていっているようなイメージで、別にER-4Sが籠っているかのような違和感はまったくない。言うなれば、ER-4Sは鮮烈な湧き水、KBF mk4は饒舌な炭酸水、みたいな感じかなあ。あるいはER-4Sは独奏や管弦楽、KBF mk4はオーケストラ、と言った感じだろうか。
また、別の観点の相違点で言うと、ER-4Sは内部抵抗が大きいので音量が全く取れないのに対して、KBF mk4はそこそこに音量が取れる。Walkman NW-ZX300で言うと、ハイゲインでER-4Sは70-100ぐらいで音量が取れ、KBF mk4は30-40で音量が取れる(Audbs P4も30-40ぐらいで音量が取れる)。この音量の取れ方と関係があるのか分からないが、KBF mk4は(そしてAudbs P4も)かなり少なめの音量のところで飽和してしまい、それ以上は音量を上げてもなんとなく音が割れたような感じになって音量をとれない。一方でER-4Sは音量を上げていってもしっかりと音が取れ、耳の中脳みその中に音がなだれ込んでくる印象がある(もちろん音を大きくしすぎるのは耳によろしくないのだが)。この辺の音量の限界の取れ方の違いが、ER-4Sの方が脳みそにダイレクトに信号が流れ込んでくるイメージにつながっているような印象だ。
この辺は、もしかしてKBF mk4に抵抗を挟んで音量を取りにくくしたら(ER-4SER-4Pのように)違いが出てくるのだろうか。音量のとりにくいER-4Sの方が、同じKnowles ED-29689のBAユニットを使っていると言われる中音の表現でも粗が取れてきれいになっている印象があり、KBF mk4も抵抗を挟んだら同じような変化をしてくれるのなら面白いのになあ、と思ったりする。
全体として賑やかめの音楽にはKBF mk4が相性が良く、しっとりとボーカルメインの曲ではER-4Sの相性が良い印象。僕のよく聞く曲だと、KBF mk4でのお気に入りは「adrenaline!!! by TrySail」、ER-4Sでのお気に入りは「ETERNAL♭ by 加藤恵 (安野希世乃)」あたりだろうか。
今まではER-4Sが僕のベースのイヤホンになっていたが、これからはKBF mk4をベースにした方が世の中のイヤホンの評価をするには都合がよさそうな印象である。もちろん併用して楽しむのだけど、なにせ音量の取れ方が全然違うので聴きながらちょいちょい交換するというよりは、「今日はこっち使うか」ぐらいに決め打ちで使うようなイメージになるかと思う。

とりあえずこれ以上ポンポンとイヤホンを買ってもしょうがないので、もう少ししたらもう1、2個買って打ち止めにしようかと考えている。買い過ぎと思いつつ次を検討しているのは、手持ちのイヤホンが基本的にBAばかりになっているからで、今は一時期の「高級品ならBA」と言う時代からDDでも高級品で良い製品があるっぽいので、DDの製品も1、2個欲しいからだ。DD一発のイヤホンと、DD+BAの多ドラのイヤホンが欲しいかなあなどと考えている。DD一発はEtymotic ResearchER2SEと言うのを最近発表したので、これがいいなあと思ったりしている。

左から、KBF mk4Audbs P4Etymotic Research ER-4S

同じく、左からKBF mk4Audbs P4Etymotic Research ER-4SER-4Sの小ささが際立つ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください