自宅環境のAV環境のノイズ対策をした
自宅のPC環境でAV機器向けでノイズが発生するようになり、それを取り除くのに少し苦労したのでその顛末を備忘。
まず、環境としてはデスクトップPCからUSB-DAC-ヘッドホンアンプで音を出し、ヘッドホンで聞いている環境。
発生するようになったノイズは、いわゆるポップノイズ/クリックノイズと言われている類のもので、時々音源に「プツッ」と言う音が混じってしまうもの。
なお、今回の議論ではあくまで上記のポップノイズを除去する議論で、『音の明瞭度が~、音の厚みが~、音の定位が~』みたいな音の官能評価はしない。
自宅の環境もう少し具体的に
使っているのは、自作PCでそこからUSBでUSB-DAC、LUXMAN DA-100に出力している。そのDA-100のヘッドホンアンプ部分からそのまま出力でAKG Q701にて音楽を楽しんでいた。
OS/ソフトウェアは(ほぼ関係ない話だが)Windows 7 Professional 64bit、主にfoobar2000でWASAPI出力している。
で、今まで特に問題なく使えていたのだが、今年の3月ごろから急に音楽を聴いているときにヘッドホンから『プツッ』と言う感じのノイズが乗るようになってしまった。
さすがにヘッドホンを壊すような大音量ではないが、普通に音楽を聴いていてもノイズが乗った時は気づく程度のレベル。
我慢して使い続けられないこともないが、やはり気になったので、原因の究明と解決を模索することにした。
ノイズの原因
ノイズの原因は、数日で分かった。
自室に冷蔵庫を置いたのが原因だった。
冷蔵庫のインバータ? コンプレッサ?がON/OFFするタイミングで「プツッ」と言うノイズが乗るのである。
ここで少し話題をそらすと、以前から自室用には冷蔵庫は置いていた。
が以前使っていたのはヤフオクで中古で買ったペルチェ素子タイプの簡易冷蔵庫だった。まあそれでも自室で飲むドリンク等々をダイニングまで取りにいかず冷やす役割にはそこそこ間に合っていたのだが、この冷蔵庫には困った問題があった。うるさいのである。もともと、『ペルチェ素子なら基本的に無音だからよかろう』と言う目論見で買ったのだが、なんともはや、残念なことにその願いは打ち砕かれていたのだ。具体的には、ペルチェ素子自体はもちろん無音なのだが、その素子から排熱するために冷蔵庫背面についてると思しきファンがうるさいのだ。さすがに分解まではしなかったが、例えるなら静音設計を微塵も考えていないPCのノイズに近いと思う。12cmファンが2000rpmぐらいでブンブン回っているようなノイズで、風切り音がかなりうるさいのだ。
と言うことで、さすがに2、3年我慢して使っていたがさすがに嫌になったのと、今後別件で日本酒を少し多めに入れて冷やせる冷蔵庫が欲しくなったので、今度はコンプレッサー式の普通の冷蔵庫に買い換えたというわけだ。買い換えたのはAQUAブランドのAQR-81E。
単に近所のヤマダ電機に買いに行って、自室に置けそうな100リットル未満タイプだとこれを含めて2商品ぐらいしか選択肢がないから選んだだけ。まあ、商品としては若干の不満もあるがこんなものかと思う。この商品はいわゆる直冷式で、室内上部製氷できる程度のごく小さい冷凍スペースと、そこから冷気が下りてくることで冷やすと思われる冷蔵スペースがある。定期的に霜取りしないといけなさそうだが霜取りはボタンでワンタッチでできるっぽいのでそれほど面倒ではなさそう。購入時検討した比較対象商品は、冷凍スペースが分かれた2ドアタイプだったがそんなに冷凍スペースはいらないよと言うことでこっちの商品にした。
普段の動作音は、今まで使っていたペルチェ素子式に比べずっと静か。ノイズの傾向として、ペルチェ素子の方はファンの風切り音なのでやや高周波の耳に残るノイズ、こちらの冷蔵庫はコンプレッサー作動の低周波のブゥウウンと言う感じのノイズなのだが、同じ部屋の中で生活しても特に不快感は感じないレベルの静音性だった。
あえてこの冷蔵庫のデメリットを言うなら、ドアポケット側が使いにくい。本当にギリギリの厚さで済まそうとしているので、2リットルペットボトルとか一升瓶とかは入らない。350ml缶とか500mlペットボトルが遊びなくギリギリ入るようなスペースだったり、その上にドアポケット側に小物を置けるスペースがあるのだがそこは何をおいてもドアの開閉時にモノが滑り落ちてしまうとか、イマイチな設計ではある。
閑話休題。
とまあ新しい冷蔵庫にしたら今度は音楽視聴環境にノイズが発生したわけだが、ノイズの種類や動作タイミングを観察するにつけ、ノイズの原因は冷蔵庫が高周波ノイズ的なものを発生させているわけではなく、コンプレッサーの動作ON/OFF時に瞬降を起こしているのではないかと思っている。瞬降とは、瞬間的な電圧降下、いわゆる瞬間的な停電は瞬電とか瞬停とか言ったりするがそれの弱いバージョンで、ちょっと電圧が足りなくなっているっぽい感じである。
さらに付け加えると、瞬降の影響を受けているのはLUXMAN DA-100っぽい。PC自体はATX電源で直流交換されているので、多少の瞬降には対応できているようで、特に挙動がおかしくなることもないのだがDA-100の方は電源変化に若干過敏なようである。
と言うことで、ここですぐに思いつく対策としては
①UPS(無停電電源装置)を導入して、瞬降を防ぐ
②USB-DACを交換する
③ノイズフィルタ的なタップ等を導入してごまかす
あたりであった。
このうち、①に関してはUPSには常時商用方式、ラインインタラクティブ方式、常時インバータ給電方式とあるのだが、前者2つは瞬電は防げるが瞬降は防げなさそうで、最後の常時インバータ給電方式を導入する必要があるようだ。で、当然だがこの方式を採用しているUPSが一番高く5万円程度~とかなり高くかかる。また、これを導入した場合、UPS自体に冷却ファンがついていることもありUPSが新しい騒音源になりうると言う、まあ若干堂々巡りなトラブルを抱えることにもなる。ので、この検討は他が失敗した時の最終手段とすることとした。
次に②について、DA-100はトロイダル電源タイプなのだけど、これをスイッチング電源採用タイプの製品に交換すればなんとなく改善しそうな気もする。がDA-100は割と気に入っていてもう3、4年使っているのでこれを交換するのもできれば後回しにしたい。
と言うことで、③のノイズフィルタ的な装置、タップ等を導入することで回避できないか、いろいろ模索することにした。
電源配線図とノイズ問題の解決の状態
できれば僕がこの辺にもっと詳しくて、常にワットチェッカーを駆使したりしながら検証できれば好ましいのだが、別に僕はあまり電器に詳しくないので、単純に機器を交換しながらトライ&エラーで改善するか試していった。
元々の配線はこんな感じ。一つの壁コンセントからPCとUSB-DACを分岐させているのは好ましくはないらしいが、今までは特に問題はなかった(問題があるとしても音の官能評価の方向性だろうけど)。
ここに冷蔵庫を単純に足したのが最初の配置。
一つの壁コンセントからPCもUSB-DACも冷蔵庫も生やしている凄い手抜きな配線。一応、以前から雷サージ対策兼ノイズ対策になると言うのでELECOMのKT-180と言う商品は入れてあった。
このKT-180と言う商品、たかだか500円程度の品なので自宅内ではテレビや冷蔵庫など何か所かにおまじないとして取り付けてある。
が、この状態でポップノイズは発生した。ポップノイズ対策においてKT-180の効果が皆無なのかは分からないが、少なくとも完全にシャットアウトできるわけではない。
そこで次に、「さすがに一つの壁コンセントから全部生やしているのがまずかろう」と言うことで、冷蔵庫はもう一つの壁コンセントを経由するようにした。
こんな風に冷蔵庫だけ壁コンセントを分離し、配線経路が伸びることでノイズが減衰することを期待したのだが、残念ながら効果なし。コンセントを変えるのなら、ブレーカー上で別安全ブレーカー配線になっている場所からとらないとノイズ対策には足りないようだ。
と言うことで、壁コンセントを分ける効果はあまりないと分かったが、今後のためにノイズ発生源のある機器を繋ぐコンセントとUSB-DACを置く壁コンセントは分けることにした。
こんな感じの配線にしたが当然これでは解決していない。今度は、ここにUSB-DAC用にAV用テーブルタップを導入してみることにした。
購入したのはYAZAWAのY02BKNS311BKと言う商品。KT-180と何が違うんだ、と言う気もしなくもないがノイズフィルターと言う言葉が入っているのでダメもとで購入してみた。価格的にも1000円程度なので大した出費でもないし。
と言うことで、こんな感じの配線になった。せっかくなので余ったKT-180を冷蔵庫電源の手前に差し込んでみたり、冷蔵庫の電源ケーブルに余っていたフェライトコアを取り付けてみたり、少しノイズ発生に配慮した構成にしてみた。…が、これでも残念ながらノイズ除去には至らなかった。なんとなくノイズが乗る回数が減ったような気はするが、やっぱりのるときはのる。
と言うことで、さらにノイズ対策に徹してみることにした。おそらく電源タップ等でどうにかなる対策はこれが限界だろう、と言う感じ。
導入したのは、一つはUSB-DAC側のタップをFURMAN SS-6Bと言うごついタップに。
これは商用レベルでも使われるタップで、EMI/RFIノイズフィルターとか言う名前がなんとなくかっこよかったので導入。でもうちのノイズは多分電波ノイズではなく電源ノイズ(ごく低周波のノイズともいえる)だと思うので、果たしてどうなのかと言う疑問は持ちつつ。
せっかく導入するのでもう少し徹底的に、と言うことでPanasonicのPLCアダプタ用の電源コンディショナー、BL-PST152と言うのも買ってみた。
もう販売終了品なので入手が難しいかもしれない。後継品としてBL-PST35と言うのもあるようだがこっちも販売終息で入手は難しくなっているようだ。
これは、製品としては宅内のAC電源回路をLANネットワークとして利用するPLCのための、ノイズフィルターになる。PLCと言うのは宅内配線を利用しているためデジタル機器や電子レンジ、冷蔵庫等のノイズをうまく除去できず結局廃れ気味になってしまった規格だが、このためのフィルターが今回のトラブルに多少は役に立つのではないかと微かに願ってみたのだ。
と言うことで、これらを導入して以下のような配線になった。
せっかくなので余ったY02BKNS311BKを冷蔵庫側のタップに回している。
一応、この環境下でタップノイズが出なくなったような気がする。長期間使っていたらまだ出ていることに気づくかもしれないが、頻度は確実に減っている。
それにしても、ノイズ対策と言うのは難しいなあと感じた。それにともするとオカルト的な対策になってしまいそうなのが悩みでもある。