FOSTEX スピーカー P802-Sの簡単なレビュー
僕はよく、寝ながら音楽を聴いている。
今までは寝ホンでEtymotic ResearchのER-4pを使っていたのだけど、イヤホンだとどうしても耳が痛くなるし、先日ER-4pがまた断線したので、今回新しくベッドサイド(と言いつつ実態は布団サイドだけど)にスピーカによる簡易リスニング環境をしつらえた。
と言うことで、こんな感じの環境を作ってみた。今回、この環境のために購入したのがFOSTEXのP802-Sと言う「かんすぴ」シリーズのスピーカー。今回はこのレビューを書いてみようと思う。
「かんすぴ」シリーズは、もともと音楽雑誌の付録から企画が始まったらしく、基本コンセプトは「初心者向け自作スピーカー」。スピーカユニット、キャビネット等を購入して自分で組み立てる。組み立てると言っても、ドライバーとカッターナイフを使えば簡単にできる(半田ごて不要の)シリーズだ。
ただ、僕はその組み立てすらめんどくさかったので、あらかじめ組みつけ済みの完成品、P802-Sを購入した。
僕がこのP802-Sを選んだ最大の理由は、「スピーカがちっちゃい」と言うこと。ベッドサイドに置くので棚が狭く、幅が50cmしかない。
最初は、音を出す音源?ユニットはスマホ(XPERIA Z Ultra)で済ませるので、たいして音質追求しても仕方なかろう、と思い、アクティブスピーカで済ませちゃえ! とエレコムの『ELECOM 木のスピーカー 12W 2.1ch チェリーウッド MS-W02WCH』と言う2000円弱の製品でいいか、と思って購入設置してみた。
だけど、これが予想以上に音が悪く、「ステレオになったAM放送」ぐらいの音質だったので「さすがにこれはアカン」と思って、もう少しマシな製品を探した次第。
で、いろいろ見ていくうちに、DALIのZENSOR1(は安いスピーカーの中では断トツの評判なのだ)が今は2万強の値段まで落ちているので、これに手が届くじゃん! とも思ったのだが、ZENSOR1は幅162mmと言うことで、これを左右2個+スマホの横幅200mm弱(ファブレットなのでちょっと大きいのだ)と組み合わせると今回の棚に載せるのは微妙にツライ。隙間なく置けばギリギリ乗らないこともないが、いかにも見た目苦しそうなレイアウトになるので、これは断念した。
で、もう少し探していたらFOSTEXのP802-Sが目にとまった。デザインもなかなかに僕好みだし、1万円で買えそうだし、FOSTEXなら音質にもそこそこ期待できそうだ。と言うことで早速購入した。
なお、このスピーカ、2015年9月上旬に発売開始したばかりで取扱店舗が少なかった。ので僕はyodobashi.comから商品問い合わせをして、取り扱いをお願いして、取り寄せしてもらってから入手した。yodobashi.comで取扱のない製品を探してもらって購入するのは今度で3、4度目ぐらいだろうか、とてもいいサービスだと思う。
で、届いたところで早速設置した次第である。
スピーカーはこんな感じ。サランネットはない。8cmウーハーと20mmソフトドームツィーターがくっついたセットである。木目調のキャビネットは写真で見た方が高級感があって、実物の方が微妙にイマイチな感じである(いや、それでも十分納得できる品質だけど)。キャビネットの角がとんがっているので手にあたるとちょっと気になる感じ。まあ普段触ることなんかないんだけどさ。
このユニット、他の『かんすぴ』シリーズと同じように個別に買って自分で組み立てることももちろん可能である。
個人的には、どうせ自分で組み立てるのならバスレフのついているキャビネットを買った方がいいような気もする。
また、これに組み合わせる音源&アンプはこんな構成。
今回は、昔買ってあって使わずに放置されていたToppingのTP30をアンプに組み合わせた。このアンプはステレオRCA入力またはUSB入力(USB-DAC機能内蔵)で、ヘッドホンアンプまたは通常のプリメインアンプの用途に使える、ちっちゃい安物だけど便利な商品。あえて難を言えばこのアンプ、ボリュームツマミの周りで青いLEDがピッカピカに光っていて、夜は非常に邪魔である。ので夜に使うときはアンプの手前にスマホを置いて隠している。
なお、頑張ればAndroid携帯からもUSB入力でTP30に使えそうな気もするが、接続のたびにスマホのUSB端子開けるのも邪魔くさいし、TP30のUSB-DACはそれほど大したことないので今回は安直にスマホのイヤホンジャックからステレオミニプラグ-RCAプラグ接続で済ませた。
と言うことで、セット構成完了。適当に組み合わせたわりには、サイズ感がそろっていてなかなかかっこよく見えないだろうか?(なお、他の人が同じような構成を作る時はたぶんスマホがもう少し小さいはずである)。
肝心の音質レビュー。なお、僕のリファレンス環境は デスクトップPC → USB-DAC-HPA(Luxman DA-100) → AKGQ701ヘッドホン である(リファレンス環境ではイコライザの類は使っていない)。
もともとデスクトップでも低音弱めのヘッドホンを使っているので、今回の組み合わせでも僕には低音は充分だった。低音は締まりのある音、とまではいかないがそこそこ朗らかに鳴ってくれている。ブーミー感みたいなのはないので安心。埋もりそうな低音もしっかり聞こえてくるので、イージーリスニングには充分ではないかと思おう。さすがに、体の芯にドンドコ響くような低音はない(8cmユニットでそんな音が出たらビックリだが)。
中・高音に関しては、ちょっとキンキン気味かなあと思う。ボーカルの声は若干埋もれがちであり、ドンシャリ感が少しある感じになってる。この辺はスマホのイコライザをうまく調節して今後ごまかしていこうと思う。そんな中、ボーカルの中にも意外に朗らかに鳴ってくれる声があった。それが今回の写真撮影につかった田村ゆかりであった。やっぱ田村王国の姫様は高音命なのだろうか。
あと、今回は棚の幅が50cmと言う前提で組んでいるので、ひどく狭い音しか出てこないが、このスピーカーは実力を発揮させるにはもう少し幅を広げて設置した方がよさそうである。よく、スピーカーと耳の位置は正三角形が基本、などと言われるが、このスピーカーの場合はスピーカー間隔の方をもう少し広げた二等辺三角形に置く方がよさそうだ。
このスピーカーはたぶんデスクトップ環境で液晶モニタの両脇に置くような設置を想定して企画されたんだろうと推測するが、なるべくならモニタの両脇ピッタリに置くのではなく机の両端に広げておく方がいいだろうと思う。
おまけ。うちにはあまりもののスピーカーがもう1セット転がっている。これはONKYOがINTEC275の廉価版に出したESSAYと言うシリーズの付属スピーカー。これがまあミニコンポサイズに付属するブックシェルフスピーカの標準的な大きさだと思う。
見比べると今回の「かんすぴ」の小ささが分かるかな。